徳島県産材について

県産材利用の目的と現実

森林資源の状況


長い林業の歴史のある徳島県は、民有林を主体に現在の利用量を倍増したとしても
減少しない程の十分な森林資源を有しています。
戦後、植林された先人の努力に報いるためにも、伐採期を迎えるスギを利用することが重要です。


林業の沿革

かつて豊かな天然林に恵まれていた徳島県。
大阪や京都などに近いこともあり、鎌倉時代や室町時代には、
たくさんの木材が船で都に運ばれた記録が残っています。
江戸時代には、藍とならんで木材は徳島藩の貴重な収入源となり、
藩が焼畑跡地に植林を義務づけたことで、全国でも早く林業経営が開始されます。
この時代、商魂たくましい阿波商人が、
大阪の阿波座、東京の木場で木材市場を開設する活躍をみせました。
昭和初期の不況時にも、徳島はいち早く高度な製材機械を導入し、スギの薄板は阪神市場を席巻していきました。


森林の面積

徳島の県土のうち75%(全国67%)を森林が占めています。
明治期のはじめに藩有林の大部分が民間に払い下げられたことで、
森林のうち私有林が89%(全国58%)を占めています。
また、古くから植林が進んだことで、スギ・ヒノキなどの人工林の割合が64%(全国41%)と高いのも特徴です。
特に、スギの割合は全国1位(2位:秋田県、3位:宮崎県)となっています。
このように個人所有の人工林が多いために、現在は管理放棄や境界の不明確化が課題になってきています。

所有形態別森林面積および樹種別森林面積
人工林の樹齢

森林の6割を占めるスギ・ヒノキの樹齢をみると、一番多いのが46~50年。
このピークは、全国より5年程先行しています。
スギに限れば、今後5年以内に、主伐が可能な樹齢50年を超えるものが半数を超える見込みです。
手入れの必要な「間伐」の時代から、収穫のできる「主伐」の時代へと、
全国よりいち早く徳島が本格的な伐採期を迎えることになります。

スギ・ヒノキ人工林(民有林)の樹齢別面積
森林蓄積量

森林資源は、スギを中心に毎年成長を続けていて、現在は40年前の3倍にまで増加。
立木換算で、毎年約100万m3ずつ増えています。
一方、利用されているのは年間20万m3、立木換算でも約30万m3。
今の生産量を倍増しても、資源は減ることなく増え続けます。このため徳島県では、
10年後の県産材生産・消費量の倍増を目指した「次世代林業プロジェクト」を展開しています。

森林蓄積量(民有林)の推移

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